子育て実験中

忙しくて大学休学中の長男、勉強好きすぎて高専2年2回目を中退してゲーム三昧の次男、参考にならない兄2人を見てモヤモヤの高1女子、3人の個性を活かした分野を模索、どの育て方が未来を切り開くか?実験中!

ギラギラがキツい

次郎が海で漁をしてた時、かーちゃんは庭の畑で今年価格の高い玉ねぎを収穫してた。何とも自由で豊かな暮らし…

 

ダイニングで次郎が「交通費ちょうだい」と長財布を開けたとき、挟まっていたかわいいシールが2つ貼ってあるカードを見てかーちゃんが「何そのカード?」と聞くと「俺が他人にできる唯一のいい事」と言って献血をしてる事を教えてくれた。

"唯一"か…

何とも悲しくなる表現。それも往復5時間かけて学校に通っても誰とも話さず自宅に帰ってくる。楽しい学生ライフがない、2年目の2年生をしていてもやる気はなく昨年落とした6単位中3つは中間試験でも落第点、それにめげずに取り組まない期末1週間前の今日。

一体何を考えてるんだ?どうしたら長いトンネルが抜けるんだ?

フォンアプリの会社で大人に悩みを聞いてもらって、山口県のオフィスに行って高専卒の方の話しを聞かせてもらって、esport高等学校でプロゲーマーの話しも聞かせてもらって、N高の説明会も聞いて、辻調理学校も大阪と東京の説明会に参加して、散々悩んで考える機会があったのに…もう、かーちゃんは次郎をあきらめてもいいですか?

バイトもマックが落ち、かつやに入るが3日で辞め、ジョナサンも落ち、勉強や将来を見つける以前の問題。どうやって社会に適合させて自立させたらいいか?

人生で1番楽しいはずの若い時期に、そんな生き方でもったいない。

 

いつのまにかモロッコインゲンとブルーベリーに変わっていた庭の収穫物で移りゆく季節を感じながら、未だ停滞中の次郎の将来を案ずる かーちゃんにはギラギラしてる太陽がキツすぎる。

 

最近の流行り

伐採された木を庭で焚き火にして、その火の前でパソコンをカタカタしてる太郎。時には肉を焼いて「炭火は食材を美味しくする」という時間を、過ごしている休学生。

「焚き火は環境にいいんだよ。CO2を出すから環境に良くないって言うかも知れないけど、地上にある炭素が循環するだけだから環境に負荷はない。問題は土の下にある化石燃料を地上で使って炭素を出すからバランスが崩れて温暖化になる。化石燃料使って、空気中の炭素を圧縮してまた、地下に入れるって発想もあってやってるらしいけど非効率で最高に環境に悪い。森林の木が倒木していて朽ち果てて行く時に温室効果ガスをだす。それが環境に良くない。だから僕は近所の伐採され捨てられてる木をもらって焚き火して環境にイイ事してるんだ。」

かーちゃんはこの発想には一部理解して全体的には騙されてるような感覚に陥っている。合っているような?でも焚き火が環境にイイのか?そんな会話をしても太郎の本業の分野は"環境"ではなく情報でありプログラミングのエンジニアだ。

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次郎の流行りは自転車だ。分解してきれいに洗って錆止め塗ってニヤニヤしてる。そして時間を見つけては走りに行く。「やっぱり夜の自転車は気持ちがイイよ」と汗ダクで帰宅。少し前には 仕事帰りのかーちゃんと市民プールに一緒に泳ぎに何度か行ってた次郎。かーちゃんとプールに行くのを嫌がらず身体を純粋に動かす事が好きな次郎は日本代表としてセーリングの大会に行く。その前に身体作り。太郎とパパが乗らなくなったと自分の自転車を分解してパーツを替えて状態を整えている。

 

花子はコンサートに夢中だ。韓国の俳優のファンミーティング、藤井風のコンサートに当たり行っていた。大阪で行われた韓国グループのコンサートも当たったが、花子もセーリングの日本代表で合宿とバッティングし泣く泣くチケットを友達に譲ってた。

 

それぞれの好きを、それぞれのテンポで生活に入れ込む…主役は自分、世間や他人の評価に振り回されず ス•ス•メ!

 

最高に贅沢な

相変わらず2度寝をかーちゃんのベッドでしてる次郎に「起きないの?」と聞いたところ「ちょっと待ってて………あ!そう言うだったのか!」と飛び起きてきた。「今さ、恐竜と戦ってたんだけど、俺だけ負けて…それって恐竜🦕は今の俺の不安で、俺だけ負けてるってこと!?」

まぁ頭がお花畑の次郎は一留(一流とも言うらしい)の学生で勉強熱心なので高専2年生をもう一度やっている。落とした科目だけ取ればいいのでゆったり感が漂っている。

退寮した次郎は高専に片道2時間半かけて通っている。落とした授業が1時間目からある時は5時45分に家を出て夕方に帰って来る事もあるし、1時間だけ受けてお昼を食べずに帰って来る事もある。水曜日は落とした科目がないので自由時間だ。サイクリングや高校を中退した地元の友達と釣り🎣に行ったり、バイトやもちろん何もせずにゴロゴロしてる時もある。

一方、太郎は海が見れるリゾート地で車の免許宿泊を探してきて大学休学生活をスタートした。新学期新生活が始まる4月から車の合宿の教習に参加する人は変わり者、もしくは世の中の流れに逆らえる人だって事をかーちゃんは太郎に伝えていたが、そんなのは想定内だったらしい。安く合宿で免許が取れる所を探していたらうどんの美味しい県だったらしく入校にいそいそと出かけた。タバコ臭い合宿所だったという以外は楽しめたらしい。というのも普通の生活をしていたら出会えない人との交流が新鮮だったようだ。高卒、宗教団体の事務をしてる子、哲学専攻で卒論に行き詰まり休学した京大の4年生2回目の子、高卒で携帯販売員で月50以上稼ぐ子…また、教習所のある街をぶらついていたら軽自動車が多いことにも気がついたらしい。環境を変えると発見があるのね?いかに偏った場所で普段生活をしているか気がついたようだ。

22時に最寄りの駅から最終のバスに乗らないと帰れない家に住んでる かーちゃんは、まだお酒の飲めないタクシードライバーが増えたことに喜んでいる。まぁ、休学中なのに忙しい太郎はあんまり家に、いないので配車する機会は少ないが…

そんな独特な春をそれぞれスタートした太郎と次郎だが、1日一緒に過ごした事があった。それは次郎が進路を悩んでいるときに訪問したphone appliの、萩にあるオフィスを訪問した事である。そこは高卒、高専卒の技術者のオフィスで、太郎はphone appliでインターンをしていた時から同世代の働いている様子を知りたいと考えていたし、次郎は高専経験者の方の話しが聞きたかったのだ。計画は日帰り、朝1番の電車と飛行機で行き、最終で帰ってきた。高専卒の方も次郎同様留年を経験していて高専時代は楽しい事は全く無く、卒業してその状態から解放されたようだ。就職はいろいろ調べてphone appliが1番ホワイトで良い会社だと思ったからだそうだ。

多感で人生を模索している時に、多様な考えや生き方、人との出会いは自問のきっかけになる。自由に悩める時間は最高に贅沢な時間だったって事にいつか気がつく事があるだろうか?

ピットイン

「今はより走りを良くする為にピットインに入ってるんだって考えてるよ。チューニング期間だね。」と自分の事を肯定的に言語化した次郎の様子に今度こそは大丈夫だ!と確信した。納得しないと進めない次郎、今までのふわふわした感じに地に足つけず秋・春の乱を繰り返し結論も出ず過ごしてきた次郎が、どこか吹っ切れた様に清々しく感じた。年明けから3ヶ月学校にも行かずぐうだらしてるだけだと思っていたけど自分なりに落とし込んで考えていたのね。チューニング話に加えて「俺は学生で生徒じゃないんだよ。かーちゃん知ってる?"大学生の生徒化"って問題」知らなかったかーちゃんは慌ててググっていると、かーちゃんの画面を覗き込み「あ、そうそう、その辺読んでみ」と。

 

かーちゃんには今年大学に入学した子どもを持つママ友がいて、優秀なその子はいくつか受かった大学のどこに入るか決めきれていなかった。そのママ友は「A大学は学生の人数が少なくって先生がきめ細かく勉強も就職も面倒を見てくれるらしい。Bは通いやすいけどマンモス校だから…」と話していたが、"きめ細かく面倒を見てくれる"というスタンスは学生のお客様化を親も望んでいる表れであって、それは自律的に学問を学ぶ学生の姿を望むのであればその様な発想をするべきではないんだろうなぁと次郎の"学生宣言"から感じてしまった。

バイトも始めた次郎、ピットインもいいけどできれば1年でコースに戻っておくれ!と望むがーちゃんでした。

今どきの…

かーちゃんは朝、花子が春休みなので自分のお弁当だけを作っていたところ花子が起きてきたので「どうしたの?」と聞くと「今日学校、卒業式」

あーそうだった。学校はとっくに春休みに入っていたから、そんな儀式があったなんて全く気にしてなかったが、義務教育最後の日、中学卒業式のようだ。

そんな花子は春休みに入るちょっと前に学校の副会長に立候補し対抗する子と110票差で当選した。コロナ禍なので学生一同を集めた会場で演説する事はなく、事前に収録した演説をクラスにあるテレビで流したらしい。そこで花子は打ち出したのはスローガンは「Next stage 」。他の立候補者は真面目に当選したらやりたい事を訴えた中、花子はスローガンに掲げたNext stageを歌っている韓国女子グループの振付けを披露したらしい。花子と交流のない他学年はきっと印象深い振り付けで投票したのだろう。また最近の若者らしく友人がインスタを活用して、知り合いに花子に投票するように呼びかけたものが拡散されたらしい。今どきの…選挙戦だ。

そんな花子は終業式で学年171人中32番の成績表を持って帰ってきた。この1年変化ない順位。また奇しくも同日に次郎の成績表も郵送され落とした単位から留年がわかった。かーちゃんとしては、やっぱり退学してなかったんだと安堵。とりあえずまだ高専を続けるらしい。問題の先送りかもしれないがphone appliの中川さんらからの助言の後に「高専は卒業する」と言う次郎の判断で留年も良しとすることにした。まだ何かに向かって突っ走っている感じはないが、新学年留年した環境をどう感じ行動するかで判断する事にする。今どきの…感覚なのか?次郎だからなのか?留年は何とも感じないのか?

話しは少し前の季節に戻るが、実は花子は今年の北京冬季オリンピックノルディック複合の個人、団体とも銅メダリストの渡部暁斗選手にメダルを取った直後にインスタで試合につけていたゼッケンのビブを「ください!」と連絡していたらしい。すると良いよ!住所教えて!と返信がきて、日本に、最近帰国した暁斗さんからシーズン最終のノルウェーの試合でつけていたビブにサインが入って郵送されてきた。私たち家族と暁斗選手が交流していたのはノルウェーのホルメンコーレン。あえてホルメンコーレンの試合でつけていたビブを送ってきてくれた。著名選手との交流は、今どきの…ツールで垣根が低い。お礼もインスタで送ると素敵なメッセージを花子に送ってくれた。

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この文章を読んで最近の3つの「今どきの…」を「今どきだ!」と感じているあなたは、もうその時点で時代についていってない。当たり前に使いこなしてないツールを かーちゃんも自覚する事から始めるとする。

 

 

大切な事はわからない

人の縁につくづく感謝する。春の乱勃発中の次郎の社会科見学第二弾。先週のesport高等学校に続き今日のコースは①お台場の国際会議場近くのパナソニック②渋谷駅ビルの渋谷QWS③神谷町のNTT系のphone appliの会社訪問とフルコースだ。先週に続き太郎も参加、②③は学校を早退した花子も加わった。

①は太郎が今取り組んでいるスタートアップ前のelampのプロダクトの構想をパナソニックに展示してあると言うので見に行った。同時にものづくり、発想の種のような体験型の展示もあったので技術の面白さを感じた。対象は小学生くらいをターゲットにしていた展示だったので近隣の私立の小学生と思われる子どもたちが授業の一環としてその場にいたのだが「たまにこういうところもいいね」と太郎。肝心の次郎は太郎のプロダクトを斜めに見ながら、他の展示内容に少し興味も示していた。その後学校を早退した花子と渋谷ハチ公前で待ち合わせして、②太郎が最近よく入り浸って使っている渋谷QWSに入った。会員制のシェアオフィスなので通常ぷらっと入れる場所ではない。elampを応援してくれている方がそこの使用料を太郎の分も支払ってくれているらしい。その空間は都会の風景を見事に切り取って渋谷駅を真下に見下ろせる場所、遠くに見える雄大な富士山が豆粒に見える人々とは対照的でめまいがする。

③場所は渋谷から神谷町に移動し、創立2008年、社員250名phone appli本社へ向かった。入り口で来訪者登録をして建物内部に入りエレベーターでフロアに到着。かーちゃんの知り合いで次郎と花子の地元セーリングクラブの保護者である中川さんはphone appliの副社長で入ってすぐの会議室で出迎えてくれた。ちなみに中川さんは会社をNTTに売却した資金で3ヶ月後に世界一周ヨットレースに出場する公私共にアグレッシブにチャレンジし続けている方だ。

phone appliは太郎のインターンを高校2年から受け入れてくれた先で、高専出身の中川さんに次郎の高専辞めたい病をとーちゃんが日曜日のセーリング  の時に相談していたところ会社においでとの運びとなった。会議室に入り驚いたことに次郎の悩みに、中川さん以外にオンラインでphone appliの取締役、執行役員高専出身者の3名も参加して真剣に話しを聞いてアドバイスをしていただいた。

「いろんな事をやってみなきゃわからない」

高専はピカピカの学歴、大卒よりも価値がある場合も。」「人生は選択肢が多いと幸福度が高いらしい。高専卒はその後の選択肢が豊富」

「(人事で毎年何人もみているが)20歳前後に悩んでいた子が優秀。今悩んでいる事がチャンスでもある。」

など多くの言葉をもらい「気が楽になった」と次郎はその場で答えていた。

県立の高校に転入する事も同時に考えとーちゃんは県や高校に直接問い合わせをしたり、留学も検討したりした。昨年の秋の乱の時には料理学校の道も模索したし、esport高等学校も見学した次郎は選択肢の多い状況だがそのありがたみには気づかないんだと思う。それはアドバイスの中で「大切な事はわからない。2年経ってから気が着くんだよ。」と。そんな次郎の携帯の待ち受けをみてみたら「選択肢開拓」の言葉が書いてあった。相変わらず何も動きのない次郎だが、じわじわ伝わって欲しいものだと願うかーちゃんです。

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※余談だが、学校を早退させて社会科見学に参加した花子はphone appliで感動したものの帰りの電車で「私、選択肢が多くて何に絞ったらいいかわからないんだけど」と言ってきたので「麻雀と一緒、麻雀牌14枚が人生だとすると、よりよい牌を残して選択肢を多くすると上がりやすいじゃない?」かーちゃんのアドバイスは全て麻雀になってしまう。

 

春の乱

昨年の秋の乱に続き次郎の春の乱が勃発した。高専辞めたい病である。後期最後の2週間学校に行かず期末テストも受けず先生に辞めますと本人が伝えてきた時点で辞めたものと勝手に かーちゃんとしては思っていたのだが実はまだだったらしい。後日確認したら確かに退学届けに親のサインを書いてないのだからごもっともな話なのだが。しかも本人に聞くとまだ退寮手続きもせず、来年度の申請もしてきているらしいから何ともちぐはぐな話だ。話しを聞いても全てがチグハグ、結局なところきちんと自分の事を理解せず言語化できない逃避行的な行動は幼稚そのもの…ただゲームの中に心地よい仲間と心地よい場所のいわゆる居場所を求めて過ごしてるに過ぎないのだとかーちゃんは判断している。

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腐っている次郎。ゲーム依存症ならばと思い、逆にゲームの能力がフルに活かせるように1ヶ月後、来年度4月から日本で初めてオープンする高校卒業資格が取れる「E sport高等学校」の見学会に申し込み次郎と太郎を連れて渋谷まで行ってきた。ハチ公から程近いビルの8階、ゲームで多用される蛍光グリーンのラインのライティングが暗闇の空間の天井を浮かばせて、教室前方は黒板の代わりの3m×8mくらいの一面の5000万するスクリーンと音響スピーカー、そこに映し出す映像と音を操作するコントロールスペースはその会場の後方真ん中に鎮座。動画撮影のための防音室も教室後方に完備されている。また側面のガラス張りのショケースは最先端の自販機で、その中のペットボトルを取るとカメラで動きを読み取り、自動でスマホ決済に請求されるシステムが導入されていた。フリーで食べられるスナックはスポンサーからの提供、そこは教室と言うよりは大会会場だった。

高校でゲーム講師をするプロゲーマーの3人が説明会場にはいたが、NTT系の校長と出資会社の東京ベルディの代表の話しはかっこよく編集された動画が流されただけだった。参加者の子どもたちは1人1人ゲームができる高スペックなパソコン前のゲーミングチェアに座りゲームの対戦とゲームのプログラミングの体験をして、ひと通りの説明会は終わり時間まで自由にゲームをする事ができた。そんな中、次郎は3人のプロゲーマーを1人占めし談笑してる。次郎は初対面の人の中に混じるのが上手だ。話しが盛り上がっていて終わらないようなので、保護者席から太郎とかーちゃんは移動して次郎に近づきプロゲーマーに挨拶し話した結果、e-sportがスポーツである事がわかった。目と腰に負担がかかる職業、ずっと座っているのでイイ椅子が必要で、画面を見続けるので反射神経を使い、目が疲労する。質の良い対戦には質の良い睡眠に気をつかい、寝る際に使用するホットアイマスクは必須でホットミルクを飲んで睡眠の質を上げる。練習時の対戦相手も自分より格上の選手にコンタクトを取り相手をしてもらう営業も自らの積極的なアプローチが必要で、それは国内の選手だけでなく海外の選手にも行う。また練習を記録し格上の選手に見てもらいダメな部分に付箋を貼ってもらい、その後の自主練で、その付箋を剥がして行くように何度も練習する。単にゲームが楽しいからやり続けていれば上手くなってプロゲーマーになれるわけではない。2020年の国内PCゲーム人口は1527万人、プロゲーマーは国内およそ250名、0.0016%の狭き門だ。プロと言っても年収が高い人は一握り、1つのゲームが上手になるのに最低10000時間と言われているらしくものすごく効率の悪いものだ。と言うのも仮に大学生が毎日8時間、年間180日、4年間で5760時間の勉強で学位が取れそこそこのところに就職できれば学生をした方が効率がいい時間の使い方となる。次郎が好んでいる対戦系は瞬発力が不可欠で20代がピーク、30歳以降は難しいらしい事もプロゲーマー達は語ってくれた。なので話しをした3名中2名も大学で教職の免許を取りプロとして活動できなくても転向できる保険を持っている。もう1人は元プロ棋士、その後I T企業のプログラマーもしていたらしい。安心してプロをしていられるにはそれなりの保険が必要だとわかったが、次郎は「僕のいる場所はココだ!」と言って目がキラキラしていた。

私たちが3人のプロゲーマーに見送られてエレベーターで帰る時も他の説明会参加者たちはずっと黙々とゲームをしていた。彼らは隣に座っている学生同士やプロゲーマーとの交流を求めていない。二次元の世界が全てなのだろう。

扉が閉まったエレベーターの中で太郎と「プロを目指すとしてもここじゃなくてもイイね」と結論づけられ、次郎の意見ははじかれた。プロが集まっている場所も教えてくれたし、プロの厳しさもわかった。そして何より彼らは能力が高い。大学生をしながら教職をとりプロゲーマーになっている。時間の使い方、自己管理能力、分析力、行動力がある。次郎はプロゲーマーになるための、向き合う姿勢が足りてない。やるならそれを見せておくれ。

その後スパルタかーちゃんは次郎のゲーム姿に「分析してるか?」としか声をかけていない。