子育て実験中

忙しくて大学休学中の長男、勉強好きすぎて高専2年2回目を中退してゲーム三昧の次男、参考にならない兄2人を見てモヤモヤの高1女子、3人の個性を活かした分野を模索、どの育て方が未来を切り開くか?実験中!

春の乱

昨年の秋の乱に続き次郎の春の乱が勃発した。高専辞めたい病である。後期最後の2週間学校に行かず期末テストも受けず先生に辞めますと本人が伝えてきた時点で辞めたものと勝手に かーちゃんとしては思っていたのだが実はまだだったらしい。後日確認したら確かに退学届けに親のサインを書いてないのだからごもっともな話なのだが。しかも本人に聞くとまだ退寮手続きもせず、来年度の申請もしてきているらしいから何ともちぐはぐな話だ。話しを聞いても全てがチグハグ、結局なところきちんと自分の事を理解せず言語化できない逃避行的な行動は幼稚そのもの…ただゲームの中に心地よい仲間と心地よい場所のいわゆる居場所を求めて過ごしてるに過ぎないのだとかーちゃんは判断している。

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腐っている次郎。ゲーム依存症ならばと思い、逆にゲームの能力がフルに活かせるように1ヶ月後、来年度4月から日本で初めてオープンする高校卒業資格が取れる「E sport高等学校」の見学会に申し込み次郎と太郎を連れて渋谷まで行ってきた。ハチ公から程近いビルの8階、ゲームで多用される蛍光グリーンのラインのライティングが暗闇の空間の天井を浮かばせて、教室前方は黒板の代わりの3m×8mくらいの一面の5000万するスクリーンと音響スピーカー、そこに映し出す映像と音を操作するコントロールスペースはその会場の後方真ん中に鎮座。動画撮影のための防音室も教室後方に完備されている。また側面のガラス張りのショケースは最先端の自販機で、その中のペットボトルを取るとカメラで動きを読み取り、自動でスマホ決済に請求されるシステムが導入されていた。フリーで食べられるスナックはスポンサーからの提供、そこは教室と言うよりは大会会場だった。

高校でゲーム講師をするプロゲーマーの3人が説明会場にはいたが、NTT系の校長と出資会社の東京ベルディの代表の話しはかっこよく編集された動画が流されただけだった。参加者の子どもたちは1人1人ゲームができる高スペックなパソコン前のゲーミングチェアに座りゲームの対戦とゲームのプログラミングの体験をして、ひと通りの説明会は終わり時間まで自由にゲームをする事ができた。そんな中、次郎は3人のプロゲーマーを1人占めし談笑してる。次郎は初対面の人の中に混じるのが上手だ。話しが盛り上がっていて終わらないようなので、保護者席から太郎とかーちゃんは移動して次郎に近づきプロゲーマーに挨拶し話した結果、e-sportがスポーツである事がわかった。目と腰に負担がかかる職業、ずっと座っているのでイイ椅子が必要で、画面を見続けるので反射神経を使い、目が疲労する。質の良い対戦には質の良い睡眠に気をつかい、寝る際に使用するホットアイマスクは必須でホットミルクを飲んで睡眠の質を上げる。練習時の対戦相手も自分より格上の選手にコンタクトを取り相手をしてもらう営業も自らの積極的なアプローチが必要で、それは国内の選手だけでなく海外の選手にも行う。また練習を記録し格上の選手に見てもらいダメな部分に付箋を貼ってもらい、その後の自主練で、その付箋を剥がして行くように何度も練習する。単にゲームが楽しいからやり続けていれば上手くなってプロゲーマーになれるわけではない。2020年の国内PCゲーム人口は1527万人、プロゲーマーは国内およそ250名、0.0016%の狭き門だ。プロと言っても年収が高い人は一握り、1つのゲームが上手になるのに最低10000時間と言われているらしくものすごく効率の悪いものだ。と言うのも仮に大学生が毎日8時間、年間180日、4年間で5760時間の勉強で学位が取れそこそこのところに就職できれば学生をした方が効率がいい時間の使い方となる。次郎が好んでいる対戦系は瞬発力が不可欠で20代がピーク、30歳以降は難しいらしい事もプロゲーマー達は語ってくれた。なので話しをした3名中2名も大学で教職の免許を取りプロとして活動できなくても転向できる保険を持っている。もう1人は元プロ棋士、その後I T企業のプログラマーもしていたらしい。安心してプロをしていられるにはそれなりの保険が必要だとわかったが、次郎は「僕のいる場所はココだ!」と言って目がキラキラしていた。

私たちが3人のプロゲーマーに見送られてエレベーターで帰る時も他の説明会参加者たちはずっと黙々とゲームをしていた。彼らは隣に座っている学生同士やプロゲーマーとの交流を求めていない。二次元の世界が全てなのだろう。

扉が閉まったエレベーターの中で太郎と「プロを目指すとしてもここじゃなくてもイイね」と結論づけられ、次郎の意見ははじかれた。プロが集まっている場所も教えてくれたし、プロの厳しさもわかった。そして何より彼らは能力が高い。大学生をしながら教職をとりプロゲーマーになっている。時間の使い方、自己管理能力、分析力、行動力がある。次郎はプロゲーマーになるための、向き合う姿勢が足りてない。やるならそれを見せておくれ。

その後スパルタかーちゃんは次郎のゲーム姿に「分析してるか?」としか声をかけていない。