子育て実験中

忙しくて大学休学中の長男、勉強好きすぎて高専2年2回目を中退してゲーム三昧の次男、参考にならない兄2人を見てモヤモヤの高1女子、3人の個性を活かした分野を模索、どの育て方が未来を切り開くか?実験中!

始動!

その時は突然きた。今日はようやく次郎が始動する日だ!それにしても中学卒業してから高専の後期が始まる10月までの長い引きこもりゲーム人生で自由を謳歌したものの本当はしんどかったのだと次郎を見て思う。オンライン授業を3月までの1年間続ける事をコロナ第2波が来た夏前、早々に決定した状況は、秋になっても未だ登校しない各大学と方針が一緒だ。部活も再開している地元の普通高校との違いは明らかである。高専は高校寄りと言うよりは大学に準ずる姿勢を感じた。

そんな状態だったが、9月の試験が終わり2週間の秋休みに入る直前に突然入寮のお知らせが届いた。3月まで短調で悶々としている引きこもり生活が続くと思ったので、「正直モチベーションが保てない」と言っていた次郎にとってギリギリの時期だった。そんな次郎を見てられない かーちゃんにとっても うれしいお知らせだった。

中学卒業した3月にほぼ入寮の準備をしていたので、今回は何も手伝う事はない。これから冬に向かうので、上着を用意すればイイくらいだろう。入寮の通知が郵便できてからも、「必要があれば持ち物の要望を言ってね」とざっくり中身を確認しその封筒をそのまま次郎に渡した。休みが2週間もあるのだから少しずつ準備すればイイものの、そこは次郎…そんな計画的に行動する能力は備わっていない。入寮前夜に準備を始め、結局寝ずに持っていく物を選択していたようだ。

 

「朝から次郎は何回“お母~さん”って言ったと思う?」花子が祖母に呆れるように車の中で話し始めた。入寮日、次郎の寮を見学したいと祖父母が言っていたので、荷物を車で寮に運びがてら一緒に行く事になったのだ。「荷物がこれに入りきらないんだよね。どうしよう?」「GUで買った長ズボンがないんだよ。どこ?」と言う次郎の言葉の前に「ねぇねぇ、お母〜さん!」が必ずついた。想定内だが朝からウンザリである。しかも車が自宅から200m進んだ後に「あ!忘れた」と言って戻る…こんなところは とーちゃんソックリでウンザリの2倍で想定内だった。

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車で1時間半、今年改修工事をする寮に到着した。学年ごとに入寮する時間帯が決まっていて、午前中に初入寮する1年生は建物入り口で受付に手間取っている。男子寮は古く、歴代蓄積された重苦しい男子臭さと鉄筋コンクリートに染み込んだ湿気が抜けきらないジメッとする空気の入り混じった独特な空間、ここがこれから次郎が成長する場所になればかーちゃんとしてはうれしい。実はとーちゃんも、かーちゃんも違う大学だったがそれぞれ寮経験者なので、次郎の様な自分をコントロール出来ない人間にとって寮の生活は恰好の自立支援環境なのだと思う。

さて持ってきた荷物を3階の個部屋に入れ、祖父母と記念写真を撮ったところで長居せず、すぐに玄関入り口まで階段を降りた。次郎をかーちゃんの背後に寮担当者に「パソコンのケーブルって必要なんですよね?」と尋ねると「入寮のしおりに各自でwifiが使えるように準備するって書いてありましたよね?……」と。この質問は狙い通りの行動。「夕飯までに足りないものを買ってきます」と伝えて駐車場に急いだ。「準備するの当たり前って感じで言われたよね?」と次郎に言うと「そうだったね」と。「お母さんもプリントにそう書いてあったの見たけど次郎から何も言われなかったからね。もう”わからなかった“、“知らなかった”じゃ通用しないんだよ」

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学校近くの電気屋に2軒梯子しモバイルwifiを契約しその日から使える形で購入、100円ショップで足りないものを追加した。

寮は長期休暇の時に荷物を全部持ち出さなけれならない。駐車場に戻りながら、寮生活を熟知している先輩方が持ってきた荷物が開けっ放しの車後部ドアから覗く事ができた。カップ麺のケース、洋服用のプラスチックの収納ケース、自転車など 「なるほどね!」と思わせるものから、約60cm四方の何かのアンプ?など、見てもわからないオタクらしい品物もあった。この“趣味で大きな物”を毎回運び入れる手伝いをする親御さんには尊敬をする。そのうち次郎もそうなるのだろうか?

お昼ご飯を食べてから再度寮に戻りwifiがつながるか確認したところで、前夜睡眠をしていない次郎にとって疲れのピークと寮生活の不安が入り混じっている雰囲気を醸し出していた。後の片付けはゆっくりやればいい。電気屋で追加で購入した目覚まし時計に電池を入れて「夕飯までセットして寝な」と言ってサクッと次郎を除いてかーちゃん達は寮を後にした。

 

半年遅れたが、ようやく始動した次郎16歳の秋である。