次郎は吃音がひどかった時があった。
日本語のベースをしっかり学ぶと言われている小学1〜3年生をノルウェーのインターで過ごし、日本語の苦手意識があるまま帰国後日本の公立、アメリカの現地校、中学の途中から日本の公立と転々としたのが要因の1つだと思っている。というのも、ノルウェーに行く前に町の教育委員会に渡航で注意した方がいい事をアドバイスしていただいていたのだが、3人の中で次郎が1番日本語を学ぶのに苦労するだろう、そしてサポートができるので帰国後不安がある時は相談して欲しいと言われていたのだった。
案の定、帰国後1番苦労していた次郎には学校の放課後特別に学校に派遣された国語の補講の専門家にお世話になっていた時期もあった。
中学時代に通っていた塾で開催された吃音専門医師の講演で、小さい時に治らなかった吃音は一生治らない、英検の二次の会話のテストで吃音の子は不利になるので診断書を出す事ができる、吃音が原因で他人との関係が築けず大人になっても悩み自殺する人もいるくらいの本人にとっては深刻な場合もあると聞いていた。
のに、かーちゃんはそこまで深刻に考えていなかった。次郎には友達も多いし、中学生の頃生徒会で全校の生徒の前で平気で言葉をつっかえながら話していたそうだ。その時も「始めはみんな聞きにくそうだったけど、段々と慣れてきたみたいだよ」と、全校を相手に次郎ワールドを勝手に繰り広げていたそうな。
しかしこのたび、治らないと言われていた吃音が完全に治ったようにかーちゃんは感じたので、次郎に「最近スラスラ話せているよね〜」と聞いてみたところ「ホウレンソウのおかげだよ」と。「????」
つまりオンラインゲームで「ホウレンソウができていない、もっと積極的に!」と先輩からアドバイスされたそうだ。「だからゲームの中では仲間との“報告・連絡・相談”が大切なの」「それも瞬時に伝えないと勝てない。見たものを判断し相手にわかるように伝えるの!」「新しい学校の自己紹介では俺が1番長く紹介したんだよ」と。
ホウレンソウを次郎に教えてくれた先輩には感謝しかない。しかし、留年リーチの次郎からはしばらく遠ざかってくれ!と言いたい複雑なかーちゃんです。