子育て実験中

忙しくて大学休学中の長男、勉強好きすぎて高専2年2回目を中退してゲーム三昧の次男、参考にならない兄2人を見てモヤモヤの高1女子、3人の個性を活かした分野を模索、どの育て方が未来を切り開くか?実験中!

カテゴライズの外側の何者かである事

ウチに遊びに来た太郎の友だちのうち2人が帰ると言うので3km離れた駅まで車でかーちゃんが送った時の話し。

半年前から塾の経営を始め高校1年の3月に中退したばかりのカズキが、来年大学受験のミホに「僕に相談してくる時期だと思ったよ、ミホは部活で頑張ってきたブラバンがこのコロナ禍で出来なくなって、頑張る先を求めてココに来たんだね。」ココとは代表の仁禮綾香さんのタイムリープアカデミーという起業家教育に参加した1期生の仲間の事である。https://www.timeleap.today/

「ミホちゃんは何者かでありたいんだね?」とかーちゃん「そうかもしれない、不安だったんだと思う」とミホがゆっくり呟いた言葉にカズキは言葉を重ねる様に「僕は嫌だ、何者かでカテゴライズされる枠の中にいたくない」と言い放った。

起業家教育のプログラムは6月から翌2月まで8ヶ月、本来なら毎週土曜日に顔を合わせての予定だったようだがコロナ禍で全てオンラインで行われた。内容は実際に会社を経営されている方の講義や参加者との議論、自分の考える事業を練り上げ発表すると言ったものだったらしい。"…らしい"というのは親はオンラインでも内容を見る事ができないので太郎から聞いた話しだったし、このプログラムを探したのは太郎でかーちゃんは内容を吟味せずお金を出しただけだ。オンラインで会う機会がなかったプログラムだったが、今までも同期の数人は我が家に遊びに来てくれていた。今回の集まりは最後まで自分を曝け出していなかったミホからの要望だったと後で太郎から教えてもらった。

10時半ごろから片道2時間かけてきてくれた子などが徐々に、最終的にはプログラム参加者の半数弱、小学5年生から高校3年まで10人が集まった。

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我が家は次郎や花子などの友だちもよく集まる場所となっているのだが、かーちゃんはあまり干渉しないように気をつけている。基本友だちをもてなすのは企画した我が子だ。だから今回は太郎はバーベキューを計画し事前に買い物をして天気が雨とわかっていたので前日にはローストビーフとピザ生地を作っていた。

いつもは干渉しないかーちゃんだが、今回、次々来る彼らに会って彼らを知りたい衝動に駆られたので、ほぼ一緒に過ごし会話やゲームなどを楽しんだ。そのうち4人は22時までいて最後はシンガーソングライターもしている高校2年生のミドリの伴奏に合わせて、お酒を飲んでいるのはとーちゃんだけなのにみんなで合唱するほど盛り上がった。とーちゃんのリクエスト曲を即興で弾いてくれてご機嫌なとーちゃんは「我が家にピアノがあってよかったって初めて思ったよ」とも言っていた。

最初に1人で来た中2のシュウはみんなが集まってから言葉数が少なかったが、それまでかーちゃんには興味ある化学の実験の事を語ってくれた。調べて直接電話をして大学の実験装置を1日3万円で借りて作った爆弾を爆発させたのが最近やってワクワクした事だったらしい。好きな事への実行力は素晴らしい。内から湧き出る探究心が理解へ繋がった時に味わう満足が本来の生きた学びなんだと思う。

みんなが集まって来た時に「そんなに背が高かったんだ!」と何度も聞いた。オンラインあるあるだ。会って初めて分かる高さ、質量、生身の空気感、二次元が始まりの彼らの感動はそこから始まる。

県を2つまたいで参加した小学5年生で身長140cmくらいのリョウは10人がけのテーブルの端に座っていたが1番存在感があった。話題は7、80年代のアニメや音楽で、リョウの知識と熱量と同等に語れたのは交友関係の広い高校2年のユウだけだった。なのにみんなは2人を尊重し「話しわかんないよ〜」と言いながら耳を傾けている様子を見て、ココがみんなの居場所であって、他にはないんだろうとも思った。

知識と経験の雑食のユウは「国道16号線」の魅力について語ってくれた。と言うのも最近流行ったclubhouseで誰もいない部屋に入り「道」の話しをしていた方と知り合い、その道沿いの発達や特徴の面白さにハマって身近な道から調べ、自転車でもその道を100km走ったそうだ。知識を自分の物にする力を持っている彼の話しに、みんなが不覚にも引き込まれてしまったのは彼の魅力の1つだろう。最後にユウが「今年度70冊読んだんだけど何かオススメの本なぁい?」と聞くと、鞄から取りだして「ヨーロッパの話しだけど、これ面白いよ」シロが薦めた。

すらっとした背丈に甘い顔だち、帰国子女のシロは素敵な絵を描く。上手く描けた絵を売りたい、人々に絵を身近に感じてもらいたいと考えているシロは、18歳以下の絵を売買するプラットフォームを作りたい、そのために渋谷に誰でも描けるキャンパスを作り絵の魅力を身近にする方法を考えている。

N高1年で俳優のハジメWOWOWドラマの撮影が昨日あって優しい笑顔は疲れていた。半年前に遊びに来た時ハジメは東京に焚き火カフェを作りたいと言っていたが、しばらく考える事を休止したいらしい。やりたい事を真剣に考える事が大切で、休んでもイイ、やりたい事を変えてもイイ、君が始動する時をかーちゃんは応援する。

かーちゃんが1番びっくりしたのは小学5年生のルリだ。身長はリョウと同じくらいで、その小さな身体から想像を超えるしっかりさ、丁寧な話し口調とどんな質問にもきちんと目を見て的確に言葉を選んで答えてくれる様子は大人と話している錯覚におちいった。同級生と一緒にいるのがつまらないのは、ルリが賢すぎるからだろう。

ともかくタイムリープアカデミーは彼らの居場所だった。学習指導要領にも特別支援教育にも彼らの居場所は定義されてない。学力とスポーツでしか評価軸がない世界は息苦しいだろう。太郎も3年間過ごした高校よりも居心地が良かったらしい。

絶滅危惧種を本気で救いたい小5のリョウが、終始「本当に今日楽しい!」と心の声を何度も叫んでいたがその姿は、かーちゃんの胸に今でも残っている。

もしこのブログを読んでいて、学校に馴染まず進路に悩んでる子どもを持つ世の中のかーちゃん、とーちゃんがいたのなら、素人ながら寄り添ってあげたい…。定義は後から出来るもの、子どもを無理矢理「今の」世の中に合わせる必要はない。カテゴライズされる外側の何者かに、いや別に何者かである事に囚われなくてイイ、「今日は楽しい」が毎日続けば…